5月8日、わたし自身の見えない徴


春の朝 おなかにあぶくそして知る
きみは正しい姿の残像

かなしみがさらさらの水になるような
化学反応知りませんか

雨音でぐんぐん歩くスピードの
それそのものをさいわいと呼ぶ

わたがしの溶け方知ってときどきは
きちんと絶望しておきなさい

オリオンの尻尾の存在知らなくて
あなたをあなただとおもいたい

ベランダの煙草の煙でよく見えないが
あそこで光っているのがスピカ

サミシイを冷たいゼリーで流し込む
冷蔵庫からはみ出る小指

金色の雨の降る夜廻りだす
人の体は静かなレコード

あの空にひねりつぶしたチューブ近づけ
そういえば夢の中では魚でしたね

花束をいっぱいもらって生きてゆく
わたしの旅は雨だっていい






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