3月1日、僕らしさ君らしさ
知らない人に会いたい
いちばんに会いたいのは見知らぬまんまに別れる他人。
死んだ恋人だった人に似ている人と横断歩道ですれ違ったことがある。
声をかけることもできずに、ただただ目で追った。
肩をぶつけたかった。
すみません、と言ってそれだけでよかった。
その人は知らない人だから。けれど知っている。
思い出そうとするとついてこないものが多くて
こんなところまで歩いてきたのだと思い知る。
冬、終わるのが悲しいなあ。
恋人だった人が死んだのは冬だった。
バラバラの感覚を束ねる時ほど野性的な時間は切実なものとなる。
わたしのゆるゆらとした時間の中で
そんなことも起こるのだ、と切なくなった。
ゆるやかな今だけの坂道をのぼる
まだ足指の冷えは取れないにしても
来たる、春
わたしは桜を見て泣くのだろうか
センチメンタルを許して。
たったひとりきりで美しくなってしまった人を思い出させて。
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