4月4日、BADモード
こんなに手指の先が冷たいのに
家の外に出ると暖かくて心も体もどよつく。
わたしにとって季節が変わることを
教えてくれるのはいつも、光。
その力できっと腕のアザが薄まってゆく。
傷が少し癒える。
光を信じるというのはそのようなことだと思う。
その信じてきた光がわたしを
こんなにもどうしようもなくさせる。
あなたの信じているものは何ですか?
あなたをどうしようもなくさせるものはありますか?
朝、目が覚めたら
息が続いていることに絶望していた。
その頃のわたしは、音が聴こえなかった。何も。
たくさんの音を失ってきた。そう思う。
非日常が日常を奪うとき、
音がなくなってしまうと気付かさせてくれたのは
あの精神科での日々。
今日は、朝起きてから家族で畑仕事をした。
春の陽をたっぷり浴びて、
芽吹いた草が風に揺れて、
昨日の雨が濡らした湿った土に触った。
声がする。音がする。
まだ、風のささやきがこの体を
全部抱きしめてくれる。
喪失を繰り返しても、何度うしなっても、
わたしは日常を、この音を
取り戻したいと願うだろう。
避けようのないできごとは起こる。
生きていく約束が壊れて、
当たり前などないとまざまざと知らされて、
世界が教えてくれるのはここまでだ。
淋しいね、とっても淋しいね。
大切なあなたをうしなったわたしは
でも、まだこんなにも歌っている。
あなた分だけ欠けたわたしは
その分だけ光を乱反射してキラキラするのだ。
そんなことを思うようになったのは
あなたのおかげだと云いたい。
もっと大きくて柔らかな光の布を纏って
限りのある時間を踊ろうと息を吸い込める。
いつかきっと歪な形のぬくい宝石になるから、
またあなたに会いたい。
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