9月1日、slow hands



恋人の右目をもらった。
この目で何を見てきたのか渡すことはできないけれど、その目で何を見てきたのかわからないけれど、この視力とその視力。交じりあった人生。不可逆。一緒に見たいものがたくさんある。もう過去に縋って生きなくていいと思えたんだって伝えたこと、うそじゃないよ。未来に体を傾ける今日がくるだなんて、あの日のわたしに教えてあげたい。そのまなざしでわたしが明日へ歩いていこうとするなんて、ちいさくもおおきな一歩を踏み出すことを決めるだなんて。

なんて甘くるしいことでしょう。
なんてこわいことでしょう。
なんて頼もしいことでしょう。
なんておもたいことでしょう。
なんて楽しいことでしょう。

退屈だってわたしもあなたも
言うけどこのつつがない日々を大切に思うよ。
わたしだけ、泣きそうになるよ。
どんな瞬間だって、踊り出しそうだよ。

今日がまた始まりの日だ。
進むことをこわがらずにいれば、また見えてくる景色の中で新しさも懐かしさも苦しさも愛おしさも知るだろう。

ちゃんとあなたの手を握って、進もう。
あなたの歌を歌いながらこの道を、行こう。
共にダンスをしながらただ、生きていこう。





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