11月20日、ねじれる

わたしは空港を走っている
ターミナル5で、待っている人がいる。
だれかはわからない。

懐かしいひとたちにたくさん会う
久しぶりと声をかけるけど立ち止まらない
恋人がずぶ濡れで立っている
立ち止まる。
飛行機には乗れない
待ってる人にも会えない

早く忘れて遠いところへ行けという夢らしい
本当かどうかはわからないけど
なんてさみしい夢なんだろうな
やさしいくるしみから逃れられずにいる。

ぎゅうぎゅうに押し込められて夜泣きを始めた真夜中にのそのそと起きる。
煙草を1本吸ってから布団に潜り手指の先を握るとひとまわり冷たい
それがじんわりとあたたまるとああ、生きているのだなと思う。

冬の朝に溜まっていた洗い物と洗濯物をしてコーヒーを飲みながら煙草を吸う。
自分を少し褒めてあげたくなる。
手首を切ってもえぐっても血は止まるし痛みも和らぐ。
つまづいても痛かったらそこでやめるのかよって刻まれた文字を撫でる。
まだ、どうにかやめないでいるよ。

記憶をパラパラとめくる度に
あなたからはぐれてゆく
寄る辺ないわたしにあなたの声は聴こえない
あなたの口元がわたしに、遠回りして帰ろうよと云う
ようやくわたしたちはまぼろしの家に帰ってゆく
でもね、わたし、そろそろ進もうって思っているよ。




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