9月18日、知らない

この人が好きだ、まもらなくては、と思うたびに
どうかみんな優しい夢を見て、長く生きてね、と思うたびに
殺人が起きても、隕石が降っても、マスクが顔から生えてくるほどの進化(退化)が起きても、花は咲いて枯れるから、風に吹かれて木が揺れて木漏れ日が揺らめくから、なんでもない連続性の中で、世界の中にいるから、その中にいてしまうから、どうしてもここから逃れられないから、人生というものが美しいということしかわからない。

車道に飛び出して今までのこと
全部なかったことにしてしまいたいね。
今日を生きれないとき、
ビルの手すりに足を掛けたくなっても
首にきつくタオルを結んでしまう日があっても、
走る電車に吸い込まれるようになって後退りしてしまう日も、
そんな時に限って雨降りの中公園のベンチに横たわるわたしに風邪ひきますよと傘をくれて走り去ってく男の子がいたりする。
そんな時に手紙を書きたくなるのは、たぶん生きているから。
遺言を書き忘れたから死ぬわけにはいかないんだよ、と思う。
書いては破り捨てるそれに救われてきた。
遺言を書くと生きたくなるから。
遺言は生きてさえいれば何度も叶うから。





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