5月15日、僕のこと
きみが悲しんだ傷は、わたしを生きることに留まらせたラナンキュラスの花だ。
死んでしまったうさぎの上に咲いた、その花だ。
生きることは痛いけれど、何故だろう、目をこすると時々世界はうつくしい。
その=花=きれい=だ とあなたが口にする。
わたしは両耳を塞いで泣き出してしまいそうだった。
泣いてもよかったのかもしれない。
だってわたしには、どうしてあなたが笑っているのかわからない。
どうしてあなたが泣いているのかわからない。
いつもわかるのは言葉が役に立ちそうにないことだけだからだ。
どれくらいここに続く階段を降りてゆけば、あなたの心はこたえてくれるのですかと問えない。
口を噤んでしまうのは弱さじゃないって知っている。
きみが優しくキスをした傷は、わたしを殺した。生きていくの。生きていくのよ。
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