4月2日、for you

いま、世界のどこかで遮断機がおりた
触れたい朝があったんだ
ここにいないきみのような
どんないびつさも愛せたらいいのにな
そのままのわたしで、そのままのきみを

突然やってくる夜の真ん中できみが泣いている
ここにくれば、あたたかな部屋に入れば、わたしの腕にきみが収まってくれさえすれば、
きみの涙は冷たくはなくなるだろうと思うのに
夜明けまでにそれが叶わないとき
突然の雨が降る。

きみはあたらしい
きみは真白い
きみは生まれ落ちた
きみは風
きみは立ちのぼる
まだ、名前もない

名前をください、と言われたわたしの心の行き着くところ
きみは知らないでいる、わたしをくゆらせる陽炎の先に見える光景を。
わたしも知らないでいる、きみとみるはずの景色を。

針金の木に咲く花が散るまでに間に合わないわたしたちの始まりは
きっとじきに生まれる元気な風が教えてくれると思うから
なんにも心配することはないと深く息を吐く
だれに選ばれなくともいいとにこやかに息を吸う

きみは自由だ
未来は選択次第だ
春のうたが聴こえてくる








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