10月21日、かげろう

手をあげたらわからないことを教えてもらえたのに 

手をあげられる勇者ではなかったわたしも 

今ならすっと手をあげるだろうな、と思う。 

やっぱり、勇者になれないかもしれないなとも。


 


どうして生きていかなきゃいけないの

悲しみはどこへ行くの 

それは根源的な問いなどではないのかもしれないね 




かなしいの、というと 

誰のせいですか?と訊かれた 

僕のせいですか?と言われたこともあった 

そうじゃなかった 

君のせいでも 

死んだ恋人のせいでも 

結婚した元恋人のせいでも 

もう直ぐ死んでしまう友達のせいでも 

不仲な両親のせいでもなかった 

わたしがかなしいのはわたしが生きているから


 誰にもわからないよ、なんて思わない 

誰にもわかるからこそわたしはかなしいんです
 


秋、うろこ雲は最初からぶつぶつと千切れていて 

でもそれはたまに手をつないだ 

もう夏の空を見抜けない 

冬の寝息が聞こえてきている 


シートから出したたくさんの薬を眺めながら 

びょおびょおと泣いていました。 

苦しくて苦しくて、息が詰まって 

助けて、助けて、助けて、となんども天井に向かって懇願しました。


突然やってくる孤独は積もり過ぎて

どかせなくなったかたい雪のようで 

それはわたしの生きてきた二十数年間まるまる分で 

生きることはこんなにも重たいのかと 

軽やかな人生は好きで軽い人生なんていらないんだと思いながら 

頭の中はこころの底から誰かに助けてほしいということばかりでした。

 


ひとりでも強く生きていけますようにと切った髪が伸びてきて 

やっぱりひとりでは生きていけないとぼんやり思った日のこと 

夜中にふらふらと入ったコンビニで引いたくじで温かいお茶をもらって 

それを抱きしめながら眠った夜のこと





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