7月24日、クロノスタシス

心は放たれて次の住人に明け渡したアパートの部屋のように空っぽだった。
今わたしを繋ぎとめてくれるものなどないように思えた。
満たそうとしたら壊れてしまいそうだった。
やわらかな風の吹き込む部屋に帰りたかった。
大きな犬のような存在感の植物のあるリビングに。
料理をすると暑くなるキッチンに。
開け閉めに力のいるバスルームに。
ひとりがよかった。ひとりぼっちになりたかった。
壊れてしまいそうなとき、誰にもわたしのわたしの空っぽを満たせないとき、繋いでいてほしいのにあなたがいないとき、わたしはひとりになりたかった。





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