3月21日、枷

 
 
暗くなってきた夕暮れにはあっと吐く白い息に気づかない
夜を迎える繊細が、なつかしい夕暮れを思い出させる
こくこくとしずみゆく
こんこんとのぼりくる
わけられない光が満ち足りてそれはおそらく心の中にある
淡雪の中にたたずむテトラポットはどこにいっただろう
階段をのぼったときに見える眩しい世界さえここにはなく
目を細めるふりだけをしてあの人の弱い癖を思い出す
物悲しくて、切なくて、おぼつかなさからはとおく、そうっと射す光のような
 
誰かと話がしたい。
あの人と恋がしたい。
でも、ひとりでもいたい。
どれも間違っているわけではなくすべて抱えて千鳥足で歩くわたしたち
 
「きみにこころを褒められたいな」
そんな甘やかさでさびしいわたしたち、どこへもいけなくなる
飛んでゆく鳥はここにいるのにわたしたち、どこへもいけなくなる
 
 sound by yusuke kuwabara
 

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